2020年のコロナ禍のときにやたら散歩をするようになってナイキのZOOM FLYというスニーカーを買った。なんとなくナイキを履くのがいいと思ったのだけど、それはレース用の走るための靴だった。ナイキの靴は色鮮やかでとてもパッとしているけれど自分には似合わないような気がして真っ黒で白のスウィッシュが入った一番地味なやつを選んだ。しばらく履いてみたけれどすぐに靴箱に閉まってしまって、またコンバースに戻った。
しかし2023年秋から朝のウォーキングがルーティンになってからは、このナイキの靴が大活躍することになる。このスニーカーを履くとどこまでも歩ける気がした。毎朝毎朝このナイキで歩いていたらみるみるかかとが擦れてきた。平均すると1日に10キロ以上歩くわけだから当然だ。これまでも何度か違うウォーキングシューズを試しに買ってみるもやっぱりこのナイキに勝るものはなかった。泥にまみれ、草にしみて、そのたびに洗濯した。9月の長雨の頃からはもう毎日ぐっしょりと濡れそぼってくたびれ果てて見えた。このZOOM FLYはもう製造されていないのでボロボロになってもこの靴を履き続けた。もうすぐ擦れたかかとに穴があいて靴下が見えちゃうよ、というタイミングで、同じサイズで同じ型番、同じ色のスニーカーをついに見つけたのだ。ずっと売り場で展示されていたB品だけど未使用品、迷わず買った。
届いたのはこれまでと同じ靴だけど新品、こうも気分が高揚するものかとビックリする。昨日は土砂降りだったのが今朝は雨が上がっていたので満を持してZOOM FLYに足をひたして歩いてみる。ふわふわである。こんなに足取りが軽くなるなんて。忙しくて疲れがたまっていると思っていた足腰がちょっと軽くなって、またどこまでも歩いていけそうな感覚が戻ってきた。何年もかけてその使命を果たした初代ZOOM FLYは誇らしげに2代目にバトンを渡す。感謝して供養しなければ。朝が来て歩きにいくのがあらためて楽しみになった。


































































