

この日は僕とタカテツさんならでは、というか、気心しれた仲じゃないとなかなかできない演奏スタイル。ふたりとも最初から最後までずっとステージにいて、交互に楽曲を演奏、お互いの歌に聞き入ったり知ってる曲ならコーラスを添えたりリズムを加えたり。タカテツさんは早い段階でおおまかなセットリストを用意していたんだけど、僕はその場の雰囲気で何を歌うか決めることに。先攻はタカテツさん、「星屑ギター」は以前一緒にやったことがあったのでコーラスを控えめに。僕はソロ10周年、バンド20周年ということで、10年前に出したソロ『pilgrim』から「夏の日の幻」、20年前のシングルカップリング「down the river to the sea」を歌った。
タカテツさんが僕の知らない新曲を2曲歌ったので、僕も新曲をふたつ、「lucky star」「名前のない歌」と続ける。MCのなかではライブ会場でしか話さない話題をタカテツさんの身の上も含めて。僕らふたりはここ数年不気味なくらいに似たような経験を時間差で体験している。僕とタカテツさんが無二の親友になった理由はそこにあるのかもしれない。アアルトコーヒー庄野さんを交えてのトークも興味深いものになった。作品のタイトルについての話で、タカテツさんと庄野さんは最初に題名をつけて、僕は最後に悩んで付けるというのが対照的で面白かった。


庄野さんの短編小説集『たとえ、ずっと、平行だとしても』には僕の歌からタイトルを引用した「緑の車」と、タカテツさんから引用「犬と老人」という小説が収録されている。庄野さんが「僕らの暮らし」と「緑の車」を混同していたのは予想だにしなアクシデントだったけれど、この2曲をふたりで演奏したのがこの日の個人的ハイライトだった、と思う。それぞれ洋楽のカバーを、と選んだのはタカテツさんはSUEDE、そして僕は本当はストーン・ローゼズを歌おうと思っていたんだけど、京都までの車で聴いたGO BETWEENSのグラント・マクレナンの歌が心に響いたのでそっちにした。「In Your Bright Ray」、彼はもうこの世にはいないけれど素晴らしい曲。これから何回でも聴く。
「My Favourite Girl」から始まる後半は、ここ数年の僕とタカテツさんのセッション集大成というか、普通に演奏できたり歌えたりするのが不思議なほど身体に染み込んできている。「my favorite things」みたいな早口の歌を上手にハモれるのは安宅くんかタカテツさんくらいのものだ。まだ正式録音版未発表のタカテツさん「友よ、また会おう」と僕の「セラヴィとレリビー」さえ一緒に演奏できてしまう。「幸せの風が吹くさ」も共作曲みたいに感じるけれど、この日はふたりで作った「君と僕とカップとソーサー」を二度目の演奏。とても親密な一期一会の空間と時間でした。去年共演したb-flower八野さんが、ちょうど帰省中だったしゅがーふろすと山内章子さん(伝説的インディーレーベルの祖!)を連れ立って遊びにきてくれたのも嬉しかった。天気の悪いなか、ご来場いただいた皆さんに感謝。

