2025年11月29日

なんということでもない、濃いコーヒーの話

毎日コーヒーを飲む。多分普通よりも多く飲むほうだと思う。コーヒーが好きなのだ、間違いなく。だから朝、お湯をわかして「さあ淹れるぞ」とコーヒー缶を開けて豆の匂いを吸い、ミルで挽いたころにはもうワクワクしているわけだけど、ドリッパーをサーバーに乗せたときにペーパーフィルターが切れたことに気づく朝、というのが年に何回かある。今回はもしかしたら1年ぶりくらいかもしれない。

「うぐぐ」と声にならない呻きが漏れ、しかしハッと思い出すのは、前回もそうだったじゃないか、もう何年も前に間違って買った1〜2人用の小さなフィルターの存在。いつもは3〜4人用のフィルターで淹れるのを、もう仕方がないから今回も小さなフィルターをドリッパーにセットする。ドリッパーの丈よりもかなり低いところにさっき挽いた3〜4人分くらいに相当する粉になったコーヒーをそっといれた。沸騰してちょっと経ったお湯を数滴注ぐとグーンと膨らんできて「ちょっ、ちょっと待って!」と慌ててしまう。

新鮮な豆、これはこないだトラベラーズファクトリーのイベントのときにアアルトコーヒー庄野さんがサーブした「漆黒ブレンド」の余った豆をたくさん持たせてくれたやつ。深煎りだ。僕は文字通り1滴ずつ1滴ずつ、フィルターから溢れないようにめちゃくちゃ時間をかけてお湯を注いでいく。朝ドラが始まっちゃう。長い長い時間をかけて、小さなフィルターからこぼれないように神経を研ぎ澄ませて入れた漆黒ブレンドは一口飲むだけで目が覚めるような濃厚な漆黒だった。アイスコーヒーにしてもいいくらい。普段3〜4人用のフィルターで淹れている豆を1〜2人用のフィルターでやればいつもより味わい深いコーヒーになるのかもしれないよ。すごい発見をした。っていうか、1年前も同じことを思ったのだ、ゆっくり丁寧にコーヒーを淹れて。

なんということでもない、濃いコーヒーの話、これは朝の幸せの話でもある。

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Posted by monolog at 23:18│Comments(2) │
この記事へのコメント
山田さんの「なんということでもない」シリーズ大好きです。久々の登場で嬉しい。ささやかだけど心に残る文章。これまでのものをまとめてエッセイ集として出版してほしいくらい。
Posted by みずたま at 2025年11月30日 09:58
私もこのシリーズはお気に入りです。
タイトルに付いていると、あ!と嬉しくなります。
Posted by おかゆ at 2025年11月30日 22:44