
Welcome Back GOMES THE HITMAN
「GOMES THE HITMANが再始動するんだよね」と山田氏から吉祥寺のとある酒場で知らせを受けたのが2013年の秋頃でしたでしょうか。それからほどなくバンドは活動を再開し、自ら創り上げてきた数々の名曲に再び光を当て、過去のアルバム完全再現ライブなどを経て、いよいよこの度13年振りの新録盤をリリースするとのこと、いちファンとしてとても喜ばしい限りです。
メンバーのみで制作されたという今作『SONG LIMBO』を耳にして、13年振りとは思えぬ瑞々しさ、青々とした佇まいに「これこそ紛うことなきゴメスサウンド!」とバンドのシーンへの帰還を実感しました。活動休止中にも個々の音楽家としてキャリアを重ね、すでにベテランの域に達した熟練の各メンバーたちも、ここでは学生時代のようにスタジオに集まっては音を鳴らすバンドマンといった風情で、初期衝動と成熟が不思議に同居している印象を受けました(きっとそれはバンドマジックと呼ばれるものなのでしょう)。
辺土を彷徨っていたという、若き日の山田青年の書いた歌詞の蒼さと疾走感(「バスは定刻より早く出る」の一節の切実さよ)を、現在の山田青年は「こいつも若いなー、でも本人だから気持ちわかるしなー」と俯瞰しながら歌っているのでしょうか。その距離感を心地良く感じました。虹、黄昏、夕焼け、夜明けなど四季の光景を色彩鮮やかに綴る言葉群が美しく、そして眩しいです。その歌詞を反映したジャケットの柔らかなタッチのアートワークも素晴らしく。
最近の山田ソロから入ったファンの方は今作をきっかけに過去のゴメス作品を辿る旅に出るのも良いし、個人的には「この頃は山田氏、まだ煙草吸ってたんだな」とか「この頃にはもうポチと出会ってたんだな」とか彼の自伝的小説『猫と五つ目の季節』を片手に楽しむのもお勧めです。
夏休みの終わりに軽やかにback homeしたGOMES THE HITMAN。今作『SONG LIMBO』を聴きながら早くも彼らの完全新作の到着を待ち望んでいる私です。
五十嵐祐輔(fishing with john/草とten shoes)