今年2月の初共演と「ポチの子守唄」の編曲でなくてはならない存在となった近藤研二さん、ピアノの佐々木真里さんと旧知の相棒安宅浩司くん、そして上野洋くんにはフルートと鍵盤ハーモニカ、愛弟子立花綾香もコーラス参加を志願してくれた。イトケンさんの代わりにsugarbeans佐藤友亮くんがドラムを叩いてくれることになったが、全員揃ってのリハーサルは当日のみ。開場ぎりぎりまで緊張感のある打ち合わせと練習が行なわれたのだけど、ピリピリした雰囲気は皆無なのが夜の科学オーケストラらしいところ。満員御礼の会場、客電が落ちて48回目の“夜の科学”の始まり。恒例の「Christmas is Coming」が鳴り響くステージへ。

最初は小説『猫と五つ目の季節』からの朗読。「好きなものを好きだと宣言することに僕はもはやなんの躊躇もない。こんなふうに毎日が続けばいいと願う。昨日と今日が同じようでいて少しずつ違う、というのがいい」という、まさに選手宣誓だ。そこから始まった「my favorite things」「猫町オーケストラ」「太陽と満月」は2015年の山田稔明を象徴するような疾走感。最新アルバムが充実したものになったことを心から喜ぶ自分がいます。そしてこのメンバーで再現したかった1stソロアルバム収録の「pilgrim」、<五つ目の季節>というキーワードを含む楽曲を2015年に蘇らせたかったのです。「鬼気迫るものがあった」という感想も。言葉が自分に跳ね返ってくる感覚を久々に感じました。


朗読から続く「ポチの子守唄」「日向の猫」「些細なことのように」は前年から続く季節の続きのようなシーン。いつだって泣きそうになるのは音楽が“まるでタイムマシン”だからでしょうか。「月あかりのナイトスイミング」の高揚感がすごかった。特に転調する部分、本当にガラスの天井から月を見上げているような気分でした。「光の葡萄」もこれまでとは違う雰囲気、ガーデンプレイスの光の葡萄に影響されたのでしょう。「hanalee」もそう。すべての楽曲が最新版にアップデート。最新曲である「ブックエンドのテーマ」と過去の歌が遜色なく並ぶセットリスト、もうひとつの<五つ目の季節>の歌「ユートピア」を久しぶりに演奏。個人的ハイライトでした。近藤さんのエレキギターにぐいぐい引っ張られた。感動しました。アンコールはその近藤さんと二人、“quilico”でキンクスのカバーを。



“夜の科学”恒例の年末感謝の景品が当たるくじ引き大会は各メンバー様々な商品を用意しましたが、五十嵐くんの「鎌倉大仏だるま」、そして上野くんが提供した10年前に僕と一緒に制作した萌えアニメのサウンドトラックなど貴重なものがいろいろ。特等は鈴、しかしこれはただの鈴にあらず、ステージ上で僕らと一緒に「sweet december」を演奏することができる体験型の賞品でした。小説のなかに登場するバンド名にちなんで“夜の科学オーケストラ”あらため“primecats”として演奏した150分、なんと贅沢で充実した時間だったか。楽屋に戻った途端に真里さんが「終わって寂しい。もう一回初めから全部やりたい!」と懇願するほどでした。
いつもとは違う楽器でサポートしてくれた五十嵐くん(五十嵐くんの日記はこちら)、前回の“夜の科学”は鍵盤だったのに今回はドラムで手伝ってくれたsugarくん、スタッフの皆さん、友人たち、そして会場を拍手と声援で満たしてくれたお客さん皆さんに心から感謝を。イトケンさんとえびちゃんも今年たくさんお世話になりました。また来年もよろしくお願いします。
