
先週末のこと。広島での2日間の計画が始まったのは夏の終わりの9月のことだった。高野寛さんに共演をお願いして快諾いただき進めてきたあれこれ、随分先のことだと思っていたけれどもやっぱり時間は一定の速さで新しい季節を連れてくる。久しぶりに東京から新幹線で広島へ。高野さんも同じ新幹線、僕は海側の席だったので見えなかったが高野さんのインスタグラムには美しい富士山の姿が投稿された。
広島市へ行くのは5年半ぶり。実に『home sweet home』リリース時以来のことなので駅前の風景も変わったように思えて初めて来た街のように感じる。今日の会場シャムロックはお花屋さんだそうだ。数年目にファンの方から「ライブができる花屋さんがあるんです」と聞いていたので、今回この会場をリクエストしたのは僕。果たして到着したシャムロックは想像以上の花屋さんだった。天井から釣られたドライフラワー、まるで花の洞窟みたいでワクワクした。リハーサル開始。

ギターを持って高野さんが「いちょう並木のセレナーデ」のイントロのソロを練習しだしたので僕は「わ!」と思った。今年3月の蔵前でセッションした曲だったのだけど、季節にも似合うし広島で一緒に演奏できたらいいなと思っていたのだ。開場するとシャムロック店内はお客さんでいっぱいになった。お花屋さんなので暖房が使えないということで寒い思いをさせてしまったと思いますが、たくさん集まっていただいた皆さんの姿を見てとても嬉しかったです。まずは僕のステージ。


『the loved one』の楽曲を中心のセットのなかにGOMES THE HITMANの曲を何か、と思って浮かんだのは「思うことはいつも」。不慣れな街にだんだん身を浸していく歌がこの旅には似合うと思ったのです。まだCDになっていない新曲「ブックエンドのテーマ」、そして冬恒例「sweet december」、短い時間に凝縮した内容だったと思います。
僕のセットの最後で高野さんを呼び込んで「夜の海を走って月を見た」と「太陽と満月」をセッション。高野さんの歌に混ぜてもらうのは何ともいえない緊張感と達成感があるし、逆に僕の歌に高野さんが乗ってくるのもとても感慨深い。そのまま休憩なしで高野さんのステージへ。僕は花の香る会場の2階控室から階下を眺めてその歌に聴き入りました。客席と一体になった素晴らしい演奏だった。

高野さんのステージが終了し、アンコールで再びセッションを。小沢健二の「いちょう並木のセレナーデ」を演奏し始めると客席がふわっと上気した印象がありましたが、きっと同じ青春を過ごした人たちが多いのでしょうね。「いちょう並木」のときにステージで起こったことがとても印象的で、この旅の間ずっとそのことを考えていました。この日ライブを観た人だけが胸に秘める宝物にしましょう。「夢の中で会えるでしょう」でシャムロックライブは大団円となりました。たくさんのご来場ありがとうございました。いろいろ奔走していただいた松原さん、シャムロックのスタッフの皆さん、ストレスのない音響を手伝ってくれた二〇一四永田くんにも大きな感謝を。


打ち上げでは牡蠣やお好み焼きなどとても広島的な食べ物でもてなしていただきとても美味しかった。途中で同じく広島市内でライブだったキンモクセイ伊藤くんとヲルガン座のゴトウイズミさんも合流してさらに賑やかな宴に。遠く東京から離れた街で友人に会えると嬉しい。シャムロックとヲルガン座も初めての対面だそうで、どんどん輪がつながっていけばいいなと思う。25時近くになってもとにかく広島の夜の街は賑やかで、なんだか外国に来たみたいだった。長い一日、良い夜でした。
