
梅雨明けの暑い日の夕方、着慣れない黒い服を着て汗をかきながら映像制作仕事時代の上司とのお別れの集まりへ。自分にとって、僕の人生のなかでただ一度グーで顔を殴られる制裁をくらったこわい上司であり(自分に100%の非があり不条理な暴力ではなかった)、仕事上の関係がなくなっても定期的に「最近どんな調子だ?」と連絡をくれる、少し年の離れた兄貴のような人でもあった。
こういう集まりの常で、何年ぶりかわからないくらいの再会がいくつかあり、ぽっかりと空欄になっていた故人もふくめた皆の近況などを知り、そして自分のそれを伝え、ほどけかかった縁を再確認してまた結び直すような心の動きがあって、それは先に旅立つ人による僕らへの最後の働きかけであるような気がするので大切にしたい。
ビートルズやフェイセズ、レニクラと軽快なロックンロールが流れる式で、遺影のなかにはグレイトフル・デッドみたいな絞りのTシャツを着たその人が笑っていて、かたわらにハーレーダビッドソンが飾ってありました。「ちょっとおまえこれ使ってみろよ。現行品と全然違うからさ」とビンテージのBOSSのギターエフェクターを貸してくれたときに僕はそれ(CHORUSだった)で何を弾いたのか思い出そうとして、思い出せない。しかし他にいろんなことを憶えていて、昨日はずっとその記憶をたどって過ごしました。