

この日の40分のセットリストはとても悩んだ。マーライオンくんがGOMES THE HITMANと同い年の1993年生まれということで、バンド初期の楽曲「レモンひときれ」でスタート。サニーデイサービスが換骨奪胎したフォーキーな風合いにも影響を受けて作った曲だったはず。「どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと」は「レモンひときれ」から続く系譜。続いてGTHアニバーサリーイヤーということで20年前にリリースした1stシングル「雨の夜と月の光」。昨年リイシューした『00-ism』から「それを運命と受け止められるかな」はチャレンジングな弾き語り、個人的テーマとしては新成人に捧げる意味合いがありました。
マーライオンくんのスタッフの子が「小学生のときに聴いてとても好きだった」というので「手と手、影と影」を。世代の離れた若き音楽家と共演することは少ないが、とても新鮮で興味深い。自分が25歳のときどんなだったかな、などと考えながら。バンドとソロの代表曲でベスト盤的な選曲を考えて「hanalee」、そして「光の葡萄」。会場全体が耳になって、静かに聴き入っている感覚があり、僕自身もとても丁寧に演奏することができた。楽屋で曽我部さんに「新井仁さん(サニーデイのサポートギターを担当)とよく『あじさい』のカバーをするんです」という話になって、イントロのギターソロは本来曽我部さんが弾くフレーズなのだけど、僕とやるときだけ新井さんが頑張ってコピーするんです、と談笑。曽我部さんが「これね」とそのフレーズを弾き始めたので僕もDm9 CM7と伴奏、その流れで急遽ぶっつけ本番で共演することが決まった。曽我部さんと歌う「あじさい」感無量、最高な時間だった。


曽我部さんのステージも素晴らしく見入ってしまった。全編ラップでシーンを驚かせた新作からの初披露も含むバラエティにとんだ内容。のどの強さ、声量、そして繊細さのコントラストよ。マーライオンくんの弾き語りを初めて観たが、その怪演ぶりも面白かった。歌詞のあちこちに「は?」と二度見してしまうようなパンチラインがあり、いい意味で落ち着かない。彼の『ばらアイス』というレコードは妙にクセになる。21世紀のビリー・ブラッグという言い方もあながち的外れではないかもね。
終演後はレーベルのボスとしての曽我部さんからマーライオンくんへと愛あるダメ出しが溢れていくのを、僕はけらけら笑いながら茶々を入れて、夜中まで。とてもいい一日でした。たくさんのご来場ありがとうございました。

