お昼すぎにQue入り。もう二位店長もスタンバイしてたので、みんなのこの日のライブにかける思いのようなものを感じる。楽器のセッティングをしてるところにトモフスキーさん、フラカンの鈴木圭介さん、Theピーズ大木温之さん(はるさん)が登場。無限放送の井垣さんとは事前に練習していたけど、やっぱり偉大な先輩たちを前にするとあらためて緊張する。皆さん本当に愛すべき大人、可愛くてかっこいい。リハーサルからみんな本気モードでした。僕はとにかく楽しくてずっと笑ってた。
リハーサル後にトモさんがはるさんに「おれ、リズム大丈夫だった?走ってなかった?」とか、逆にはるさんがトモさんに「Aメロの音程あってた?」とか尋ねあうのをそばで見てるのがたまらなかったなあ…。どっちも答えは「全然だいじょうぶだよ」でした。圭介さんや井垣さんがはるさんトモさんにいじられるのとかも美しい年功序列の風景でした。そこにいないのに「元ちゃん」「元ちゃん」と何度も名前を呼ぶ声。この空間に立ち会えたことが幸せ。

始まった本番、僕はトップバッターのボーカリストとしてカスタネッツのコミさん、たけちゃん、阿部Qさんとともにステージへ。「オーバーオール」と「ムーンパレス」は自分から立候補してセレクトした曲。「猫を待つ」も演奏候補曲になってたんだけどスタジオで練習だけしました(大好きな曲なのです)。僕の次に無限放送井垣さんが「ねないねないねない」、野生の動物のようにずっとジャンプし続けるカリスマの横で僕はギターをかき鳴らします。続いて「モノクローム」を歌い上げた井垣さん、ほとばしるパワーがすごかった。
入れ替わりに登場したトモフスキー、トモさん。世界がパッと切り替わる感じ、やっぱり音楽は人だなあと感じる。僕は10年以上前に裸眼でトモさんと一緒にライブをやったことがあったのでそのときのことなんかを思い出した(10年以上前の日記)。「夏の記憶」をトモさんが歌うとノスタルジックな風合いが違う角度で紗をかけた。続けて「キャラバン」をさんざんかき回してステージをカラフルに染め上げたトモさん。入れ替わりにフラカン圭介さんが「このあとに歌うの嫌だなあ…」と苦笑いで登場。
圭介さんたちフラワーカンパニーズはカスタネッツと同期ということで、楽屋でも思い出話がたくさん交わされていました。先日湯川トーベンさんとツアーをご一緒したときにフラカンをサウンドプロデュースした当時の話を伺ったりしたあとだったので、その歴史の蓄積をひしひしと感じながら眺めていました。疾走する「ジャンプナンバー」では中学生みたいにギターを掻き鳴らす。「変わりゆくいまよ」もバンドがかたまりになって音が鳴ってて最高だったな…。前に向かって飛んでいく歌の力をひしひしと感じました。コミさんのスケールの大きなギターをバッキングで支えるのもとても気持ちよくてクセになりそうでした。
トリをつとめるのはTheピーズのはるさん。MCから立ち居振る舞いまですべてが長いロードを旅してきたバンドマンの風情でした。伝統芸能の域。「気分屋さん」がまるで別の歌のように響くから不思議。「ラプソディ」みたいな比較的最近の曲がセレクトされていたのも印象的で、足を止めないカスタネッツらしさも感じました。この日ボーカリストはそれぞれ歌詞のカンペ(バイブルと呼ばれていました)を用意してきたのですが、それがみんな手書きで。とくにはるさんのカンペ(バイブル)は筆で書いた手紙のような味わいがあって、写真に撮らせてもらっておけばよかったなあと後悔。


アンコールではカスタネッツ3人でステージへ。コミさんが歌う「リッパ」でもうひと盛り上がり。今回コミさんは連絡伝達からステージ構成、曲順まですべてを取り仕切ってカスタネッツの屋台骨を力強く支えていました。元さんのことを一番思いやっているのは間違いなくコミさんだと思います。最後の最後にオールキャストでステージへ。「だいじょうぶ」を「サライ」とか「We are the World」みたいな感じで演奏しました。あの空間にいた皆さんは同じ気持ちを共有していたと思います。僕はステージ上からずっと客席の笑顔が弾けるのを眺めていました。二位店長はリアルタイムで映像を元さんに送っていたので、最後に元さんからのコメントが読み上げられました。最後にそういうこと言うの…という失笑も含めて、完璧な筋書きだったような気がします。
とにかく楽しい夜でしたが、ひとつ明確に印象的だったのは “牧野元の不在” ということで、カスタネッツの音楽は元さんなしではありえないのだなあと心底思った。聴いてるぶんにはそんなに感じないんだけど、元さんは歌のキーが高いのです。この日ボーカリストたちはみんな元さんのキーで歌うのにアップアップして、「高い!高い!」と嬉しそうに文句を言ってた。季節がいくつか進んだころにまた元さんの歌うカスタネッツを客席で聴くのを僕は心から楽しみにしています。元さんは「おまえのそのMartinのギターくれたら病気も治りそうだ」と大人げないことを最初の練習の日に僕に言いましたが、来たるべき復活の際にはこのギターあげますよ。あとでちゃんと返してもらうけど。
お世話になったすべての皆さん、ご来場の皆様に心から感謝。好きだったものがまた大好きになった夜でした。
