
高橋徹也『The Endless Summer』
2015.10.21 release
TETSUYA TAKAHASHI
official site
『the endless summer』によせて
高橋徹也のフェイヴァリット・アーティストがデヴィッド・ボウイだと知ったとき、
R.E.M.のマイケル・スタイプがNo.1アイドルである僕は妙な親近感を抱いたものだ。
「え?」と聞き返してしまうくらい直接的音楽的な影響が感じられないボウイの名が
最初にあがるところが信用できる、と思ったのだ(同様に僕のソングライティングに
R.E.M.の音楽的影響はほぼ皆無である)。
実際、高橋徹也の音楽にはその源流のようなものを見出すのが難しい。
ロックもポップスもブルースもラテン音楽も正統派もアヴァンも飲み込んで、
彼は華奢に見えて雑食、吐き出したメロディに奇妙で美しい言葉を乗せる。
彼は最新作『the endless summer』を、再発見されるまで人知れず埋もれていた
傑作AORアルバムであるかのように作ったのではないか(そのアートワークも含めて)。
同じ時間を生きて、同じ空気を吸っても、それぞれの瞳がフォーカスした風景を
思い思いの額縁に飾る過程で個性と独創性が生まれる。
誰にも似ていない、これまでの高橋徹也とも違うレコードを受け取って、
僕はその得体の知れないマグマのような熱量にまた魅了されて
新しい季節を迎えているところだ。
デヴィッド・ボウイもマイケル・スタイプも、ともに両性具有的なアーティスト。
もしかしたら彼も僕も“自分とは違う人間”に思い焦がれて妄想する夢追い人かもしれない。
目指す先はきっと“ここではないどこか”だろう。『終わらない夏』を想って。
山田稔明

Tommy & Sammy『Tommy & Sammy』
2015.11.19 release
Bonny Cat Records
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Tommy & Sammy ファーストアルバムによせて
「Tommy & Sammy」のファーストアルバムを受け取った。
プレイボタンを押して、小気味の良い演奏に導かれて歌い出した声を聴いた瞬間、
マリア・マルダーの「真夜中のオアシス」にも似た、
風景をパッと変えるような感覚があった。
Sammyこと伊沢麻未のソロ時代の音楽性からR&B色のある作品を予想していたので、
土臭く、ときにレイドバックする楽曲たちに驚かされたが、
Tommyことsugarbeansの持ち味であるストーリー性豊かな世界観と交わって、
ふたりの感性の解放がなされたように感じる。
「わたしたちが好きな音楽」を誰にも邪魔をさせないで
奔放に鳴らす二人の姿が浮かんで、嬉しくなる。
Sammyのナチュラル・ボーン・シンガーぶりも痛快だが、
その歌を支えるのは数々のミュージシャンから
信頼されているTommyの手腕、そして彼の指揮による
気のおけない仲間とのアンサンブルだ。
ずっと昔の、古き良き時代からずっとそこにあったような歌たち。
今の時代にこそ大きな音で響くべきレコードだと思います。
アルバム完成おめでとう!
山田稔明

近藤研二『子猫のロンド』
2015.12.19 release
m+m records
official site
「子猫のロンド」によせて
その30年近い音楽キャリアの数々の作品において近藤研二はいくつもの顔を見せてきた。
僕が初めて触れたのは渋谷系で賑わう’90年代のハイポジ、ギラギラと眩しく見えた。
2000年代には「ピタゴラスイッチ」や「ダースベイダーのテーマ」など軽妙なアンサンブルの中で揺れる姿、
世界的評価を得たアニメーション映画「つみきのいえ」では名作曲家としての威厳も加わる。
そして新しい季節を迎えた2015年、彼が完成させた初ソロ作は自身の音楽的バックボーンに
真摯に向き合ったシンプルかつ芳醇な作品となりました。名刺代わりのこのレコードを近藤さんは
人懐っこくニコッと笑いながら全国のファンに届けてまわるのだろうな。
近藤さんの旅の始まりを僕は心から祝福したいと思う。
山田稔明